アナトーリ・コンスタンティノヴィチ・リャードフ(1855-1914):
1. 交響詩「バーバ・ヤガー」 Op.56
2-9. ロシア民謡集
You My River/In The Meadows/White Snow/On The Mountain
Why Are You Sad, My Boy?/In Spring, Young Girls Went Out/Wide Field/ Sleep
10. キキモラ Op.63
11-18. ロシア民謡集
An Evil Plant/You, My Beauty/Attack Him Then/We Have Sung All The Songs
Lullaby/A Gentleman On Horse Back/The Well/They Came Out, The Young Girls
19. 交響詩「魔法にかけられた湖」 Op.62
レオニード・ニコライエフ(指揮)/モスクワ音楽院交響楽団 録音:1991年4月(1,10,19)
ヴィクトル・ポポフ(指揮)/モスクワ・アカデミー合唱団 録音:1996年4月(2-9,11-18)
LE CHANT DU MONDE【ドイツ輸入盤】
アナトーリ・リャードフ(1855-1914)は、リムスキー=コルサコフやムソルグスキーら「ロシア五人組」の影響を受けながら、独自の繊細で幻想的な音楽を築いた作曲家です。作品数こそ多くありませんが、ロシアの自然や伝承を題材とした管弦楽曲、そして民謡を素材とする合唱曲には、彼ならではの洗練された美しさがあります。
代表作の「バーバ・ヤガー」や「キキモラ」は、ロシアの民間伝承に登場する妖怪・精霊を題材にした交響詩です。短い作品ながら細やかな音色の変化によって幻想的な世界を描き出すのがリャードフの魅力。特に「魔法にかけられた湖」では、湖面に漂う霧や水のきらめき、遠くから聞こえるような神秘的な響きが、極めて繊細なオーケストレーションによって表現されています。
そして、このアルバムでもう一つの大きな聴きどころとなっているのが、ヴィクトル・ポポフ指揮モスクワ・アカデミー合唱団による「ロシア民謡集」です。リャードフはロシア各地に伝わる民謡を丹念に取り上げ、それを単純に和声づけするのではなく、声部の重なりや低音の響きを巧みに生かして、芸術性の高い無伴奏合唱へと仕上げています。
ここで歌われるのは、恋や別れ、春の訪れ、少女たちの歌、子守歌、農村の情景など、ロシアの人々の日常から生まれた素朴な歌です。「子守歌」の静かな優しさ、「広い野原」の伸びやかな歌、「春、若い娘たちは外へ出た」の明るい生命感など、それぞれの曲が異なる表情を見せます。
とりわけ印象的なのは、女声合唱の透明な響きの下から低声部が深く支える独特の音響です。素朴な民謡でありながら、そこにはロシアの大地や人々の生活を思わせる厚みのある響きがあります。民謡の自然な美しさと、リャードフの繊細な職人芸が見事に結びついた合唱作品といえるでしょう。
幻想的な管弦楽作品豊かなロシア民謡という2つの側面から、リャードフの音楽世界を味わえる好アルバムです。新品です。