《連作「喜劇と格言劇集」第四弾》
トレンディな都会生活の代償は眠れない夜
「喜劇と格言劇集」の第四作にあたる『満月の夜』は、偶然的な写実性を重んじるロメール映画としては、例外的に綿密な画面設計が手堅く撮られている。
主人公ルイーズは、パリと郊外のニュー・タウン、マルヌ=ラ=ヴァレを往復する生活を送っている。パリ郊外のニュー・タウンという舞台設定は、後の『友だちの恋人』(87)にも継承される。
インテリア・デザイナーのルイーズ(パスカル・オジエ)は、マルヌ=ラ=ヴァレの現代的な集合住宅で、建築家のレミ(チェキー・カリョ)と同棲している。
しかし、彼女はパリにも自分専用のステュディオを持とうとしている。妻子のあるジャーナリストのオクターヴ(ファブリス・ルキーニ)は、彼女に言い寄るが、彼女は彼を拒む。一方、レミの心は次第にルイーズから離れていく・・・・・・。
ルイーズに扮するパスカル・オジエは、アングラ劇出身の映画女優ビュル・オジエの娘で、ロメールの舞台演出作(クライスト原作)『ハイブロンのケートヒェン』(DVD『O侯爵夫人』に同時収録)で主演し、
それに続き主演に抜擢された『満月の夜』の演技で、ヴェネツィア映画祭主演女優賞に輝いたが、1984年10月25日に25歳の若さで急死した。この映画では、室内装飾も担当している。
撮影のレナート・ベルタはスイス出身で、アラン・タネール、ストローブ=ユイレ、ダニエル・シュミットらの作品で知られる現代ヨーロッパを代表する撮影監督だ。
本ディスクのみの特典『エリック・ロメール自作を語る<満月の夜>編』は、ラジオ番組『映画作家の映画』(1984年8月29日にフランス・キュルチュールで放送)のため、
クロード=ジャン・フィリップがロメールにインタヴューした音声素材の抜粋と、ロメール映画の抜粋を本DVDように再編集したもの。