THEESatisfaction 

Awe Naturale


中古盤

日本国内盤

ここのところ新たな流れがなく停滞気味の米ヒップホップ・シーン、その中から久しぶりに推薦できる作品を見つけた。

本盤の主役、THEESatisfactionはCatherine Harris-WhiteとStasia Ironsによる歌手兼ラッパーの女性デュオ。08年頃からEPやCD-Rの制作
等自主的な音楽活動を開始。彼女達は昨年突如音楽シーンに現れたダークホース、Shabazz Palacesのデビュー作
 Black Up に参加してお
り、その後彼らの所属するレーベルSub Popと契約、本作が初フル作となる。

元々少ない女性ラッパー、しかもデュオ形態となるとブラック・ポップ好きの方が真っ先に連想するのは、02年にデビュー、2枚の秀作を発表
し解散したFloetryだろう。ラップを挟みながらも女性らしい細やかな響きを備えたトラック創りが彼女達の特徴だったが、THEESatisfactionも
電子音を基調にしたトラック創りのセンスに長け、音楽から受ける感触も何処かしらFloetryを思い起こさせる故、Floetryファンの方は嵌る可
能性が高い。また透明感ある電子音ループ・トラックという共通点でForeign ExchangeやPhonte界隈がお好きな方とも相性が良いのでは。

二人が参加したShabazz Palacesの作品も電子音主体の創りだが、それはダークで重々しい感触を受けるものだった。それに比べると彼女
達のトラックには軽みと浮遊感があり、繊細な響きを組み込んだループは平たく言うとお洒落な印象を受ける。歌とラップを自在に切り替える
二人の歌唱スタイルは明らかにFloetryを参照しているが、よりすっきりした耳触りを感じる。

柔らかく回転するビートを厚い電子音の塊が優しく包み込む様がなんとも美しい唯一のインスト「Juiced」、ジャジーなピアノとベースがラップ
の背後で転がり続ける「God」、彼女達のラップとギターを絡めた躍動的なループ・トラックが畳み掛けるように作品の幕を締める「naturalE」
等、後半部分を固める楽曲群に惹かれるものが多かった。

音の色彩を次々と変化させる濃密な30分、中毒性を孕んだ快楽度高いトラックは尺が短い分何回となくリピートしてしまう。最近良いブラック・
ポップ作品に飢えている方にお薦めしたい。革新的な作品ではないがひたすら気持ち良く聴ける一枚だ。