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最大の見どころは、松家仁之の長編「沈むフランシス」250枚の初出掲載です。『火山のふもとで』に続くデビュー第二作で、東京での生活を離れ、北海道の小さな村で郵便配達を始めた女性を主人公に、男女の出会いと再生を描きます。のちに単行本・文庫化された作品を、発表時の文芸誌で読める一冊です。
飴屋法水と朝吹真理子による共同創作「いりくちでくち」も掲載。九州の半島に滞在した演出家と作家が、土地に残された記憶や人々の声を、それぞれの体験とイメージから言葉にした異色作です。
第39回川端康成文学賞の受賞作は、津村記久子「給水塔と亀」。辻原登、津島佑子、堀江敏幸、村田喜代子による選評も収録されています。
四方田犬彦の長編評論「谷崎潤一郎――映画と性器表象」は200枚。映画に強い関心を持った谷崎の映像的想像力を、同時代文化、精神分析、神話学などの側面から読み解きます。
中条省平「新発見 辻邦生の高校生日記」は、新たに発見された日記から、青春期の辻邦生像を検討する内容。対談では、池澤夏樹と高橋源一郎が「死者たちと小説の運命」、よしもとばななと綿矢りさが「荒廃した世界を生きていくうえで、小説にできること」をテーマに語り合います。
そのほか、ミランダ・ジュライ「プリミラ」(岸本佐知子訳)、荒木経惟「死小説」、安藤礼二による村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』論などを収録しています。
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