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『すばる』2020年8月号。特集は「ウイルスとの対峙」。新型コロナウイルスの感染が世界へ広がった時期に、各国の作家や翻訳家、思想家が、変わりゆく社会と日常を記録した一冊です。

ボリス・アクーニンと沼野充義による「コロナの時代の愛―ロンドン・東京往復書簡」をはじめ、渡辺葉がニューヨーク、浅井晶子がポルトガル、ヘレンハルメ美穂がフィンランド、チョン・ソヨンが韓国・ソウルから、それぞれの土地で経験した災禍と生活の変化を綴ります。

スラヴォイ・ジジェクは「接触無しの未来? いいえ、結構です!」「我々はいま〈世界を売る店〉に暮らしている」の二篇を寄稿。接触を避ける社会、オンライン化、消費と孤立など、感染症によって表面化した現代社会の問題を論じます。翻訳は岡崎玲子。

文芸漫談では、奥泉光といとうせいこうがアルベール・カミュの名作『ペスト』を読み解きます。疫病下の都市と人間の振る舞いを描いた作品を、現実のパンデミックと重ねながら語る、本号を象徴する企画です。

小説は、辻仁成「十年後の恋」前編、山下澄人「ふらここ」、山崎ナオコーラ「キラキラPMS(または、波乗り太郎)」を掲載。花村萬月「ハイドロサルファイト・コンク」連載第2回も収録しています。

座談会「マイノリティを描く」には、陳雪、李琴峰、千野拓政、張文菁が参加。文学における少数者の表象、言語、ジェンダーやセクシュアリティについて語り合います。

このほか、山下澄人インタビュー、木下直之、加藤有子のエッセイを掲載。連載は奥泉光、桐野夏生、池澤夏樹、松田青子、亀山郁夫、角幡唯介、植島啓司、山城むつみ、杉田俊介ほか。

パンデミックが始まった2020年の空気を、文学と思想の両面から記録した資料性の高い号です。

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