ヨハネス・ブラームス(1833-1897):

CD1:交響曲第1番 ハ短調 Op.68

CD2:交響曲第2番 ニ長調 Op.73

CD3:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90、交響曲第4番ホ短調 Op.98


エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮)/ソビエト国立交響楽団

録音:1981-1982年

MELODIYA【ロシア輸入盤】

ロシアの巨匠エフゲニー・スヴェトラーノフ(1928-2002)によるブラームスの交響曲全集。MELODIYAレーベルの代表的なロシア人指揮者のブラームス録音として知られるものです。スヴェトラーノフはモスクワに生まれ、モスクワ音楽院でアレクサンドル・ガウクに指揮を学び、1955年からボリショイ劇場で活躍。1965年にはソビエト国立交響楽団の首席指揮者に就任し、その後35年以上にわたって同楽団を率いました。スヴェトラーノフの功績は、ロシア音楽を世界に広めたことだけではありません。1965年から長くソビエト国立交響楽団を率いる中で、ソ連の聴衆に西欧の多彩な音楽を届けたことも非常に重要です。ベートーヴェンやブラームス、シューベルトといったドイツ音楽だけでなく、ドビュッシーやラヴェル、ベルリオーズ、デュカスなどのフランス音楽、さらにエルガーをはじめとするイギリス音楽、北欧やチェコの作品まで幅広く取り上げました。とりわけフランス音楽には強い愛着を持ち、当時のロシアではまだ馴染みの薄かった作品にも積極的に光を当てています。さらにマーラーの交響曲全曲をソ連で初めて録音したことも象徴的です。つまりスヴェトラーノフはロシア音楽を専門とする指揮者だったのではなく、ロシア音楽を軸にしながら、当時のソ連では十分に紹介されていなかった世界の音楽を自国の聴衆へ届ける役割も果たしていました。本人も「ロシア音楽への愛情は他の音楽を排除するものではない」と語っており、そのレパートリーの広さは、まさに彼の音楽家としての視野の広さを示しています。
スヴェトラーノフのブラームスは、いわゆる「ドイツ的なブラームス」のイメージからかなり離れています。端正で抑制された響きというより、重厚で大きくロマンティックで、しかも非常に強い推進力を持ったブラームスです。ソビエト国立響の分厚い弦と力強い金管を存分に鳴らし、旋律をたっぷりと歌わせながら音楽を大きなうねりの中で前へ進めていきます。その特徴は、スヴェトラーノフの演奏全般に通じる振幅の大きさにあります。テンポは機械的に固定されず、場面によって自在に動き、クライマックスでは一気に音響を膨らませます。一方、弱音では意外なほど繊細な表情を見せるため、単なる「爆演」には終わりません。評論でも、彼の演奏はダイナミックで色彩感に富み、テンポを柔軟に扱うことが特徴として挙げられています。
第1番では、ブラームスの重厚な構築感に強烈なエネルギーを注ぎ込み、第2番では豊かな旋律を大きく歌わせます。第3番は濃厚なロマンティシズムが印象的で、第4番では終楽章に向かって緊張感を高めながら、最後まで堂々と押し切ります。4曲を通して聴くと、ブラームスの「渋さ」よりも熱さと力強さ、そしてロシアのオーケストラならではの豊かな音色が前面に出ていることに気づかされます。重厚、豪快、濃厚。それでいて旋律にはたっぷりとした歌がある。洗練された室内楽的なブラームスとは対極にあるスヴェトラーノフならではの超重量級ブラームスです。ソビエト時代のロシア・オーケストラの響きと巨匠の強烈な個性が結びついた、非常に聴き応えのある全集です。デジパック・ケース。未開封新品です。