ウィリアム・ヴィンセント・ウォレス(1812-1865):
1.あま色の髪の若者-私のラッド、笛を吹けば私はあなたのところへ行くでしょう
2.私のナニーによる華麗なる幻想曲-マイ・アイン・カイン・ディアリー&ボニー・ダンディ
3.悲しい夜はとても早く過ぎていく-ラッソ・ゴーリー
4.栄光の待つところへ行こう-愛の若き夢
5.あなたがジェイミーから離れるとき
6.タラのホールでハープが聞こえてくるのは1度だけ-まだ飛ぶの
7.デズモンドの歌
8.春の日の花と輝く-アイルランドの旋律
9.スコットランドの釣鐘草
10.「ロイの妻」と「私たちは居眠りをする」のエコセーズによるピアノのためのサロン風な華麗なる幻想曲
11.ジョン・アンダーソン、マイ・ジョー-ジェミー、あなたは永遠に私の元からいなくなった
12.The Weary Pund o' Tow-幸運はこの家のあたりにある
13.輝く川の流れ-ノラ・クレイナ
14.マギー・ローダー
15.スコットランドの旋律による小ロンド-愛しのチャールズ王子
16.キンロック・オブ・キンロック-私はママのかわいい子
17.スコットランド賛歌
18.ホーム・スウィート・ホーム(埴生の宿)
19.川の岸と堤
20.老いたロビン・グレイ-ボートを漕ごう


ローズマリー・トゥック(ピアノ)、リチャード・ボニング(19,ピアノ)

録音:2009年10月9-11日、イギリス、サマーセット、フォード・アビー

NAXOS【香港輸入盤】

アイルランドの作曲家ウィリアム・ヴィンセント・ウォレス (1812-1865) は、現在では歌劇「マリターナ」がかろうじて知られている程度で、その他の作品はほとんど忘れられてしまいました。しかし、生前はオペラ作曲家として国際的な称賛を集めた人物です。ウォレスはアイルランドのウォーターフォードに生まれ、10代後半からピアニストとして活躍しました。1835年にはオーストラリアへ移住し、なんと捕鯨に携わりながら音楽活動も続けたという、異色の経歴の持ち主です。若い頃からアイルランドやスコットランドの民謡を愛していたといわれ、後年、こうした親しみやすい旋律を技巧的で華麗なピアノ作品へと生まれ変わらせました。
本盤に収録されているのは、アイルランドやスコットランドの民謡、歌曲などを素材に、複数の旋律を組み合わせて再構成したピアノ作品の数々です。当時、発展途上にあったアイルランドの音楽文化が広がりを見せるなか、ウォレスは民謡の魅力を生かしながら、華麗な技巧と洗練された書法を備えた作品を生み出しました。よく知られた旋律を巧みに結びつけ、サロン音楽として聴き映えのする華やかな作品に仕立てる手腕は見事です。ウォレスの生涯には、大地震に遭遇した話や猛獣と格闘した話など、真偽の定かでない逸話も数多く伝えられています。しかし、ピアニストとして華々しい活動を繰り広げたことは確かで、本盤に収められた技巧的な作品を聴けば、その実力のほどがうかがえます。アイルランドやスコットランドの民謡は、日本人の耳にもどこか懐かしく響きます。素朴で軽快な旋律には、素直な喜びや哀愁が感じられ、華麗なピアノ技巧に彩られながらも、親しみやすさを失っていません。とりわけ「ホーム・スウィート・ホーム(埴生の宿)」をはじめ、日本でもお馴染みの旋律が次々と姿を現しては消えていく楽しさは格別です。優しいピアノの音色に耳を傾けながら、アイルランドやスコットランドの豊かな旋律の世界をゆったりと味わえます。
演奏を担当するローズマリー・トゥックは、こうした作品の魅力を生かし、旋律の美しさと技巧的な華やかさをバランスよく聴かせてくれます。さらに、19曲目では、バレエ音楽の指揮者としても名高いリチャード・ボニングがピアノを弾いている点にも注目です。知名度こそ高くありませんが、親しみやすい民謡の旋律と華麗なピアノ音楽を一度に楽しめる、ちょっとした拾いものの一枚です。未開封新品です。