

- ナット・アダレイの3rdリーダー作はEmArcyから。1stがSavoy、2ndがWingと安定しない。このあと、Riversideに移籍して数作を連続してじっくり出せるが。
"Introducing Nat Adderley"(1955)から約一年経過した本盤は、一気にハード・バップ色が強まり、ごつんと骨太なグルーヴを聴かせた。
兄キャノンボールも加わりクインテット編成。ベースを曲によって変えた。録音も56年6月12,18.23日と三日間に分けている。メジャーなマーキュリー傘下のレーベルだけに、予算をかけたようだ。
全9曲と各曲は短め。じっくりソロを延々続けず、小刻みにソロを回す明瞭なスタイルを取った。リーダーとして我を張らぬ一方、ソロ回しで場をつなぐ遠慮がちな方向性だ。
いざソロを取ればメロディアスに吹けるナットなだけに、物足りなくはあるけれど。本盤の構成ならば集中力が切れずに聴けるのも確か。
B2が特に良いな。キャノンボールもサイドメンって気楽な立場で、のびのび抑揚をたっぷりつけて良いソロを振りまいた。
続けてナットも小気味良いアドリブを吹く。スタンダードをきれいに昇華して、心地よいスイングを提示した。終盤は速いタンギングで技術を披露する茶目っ気も出す。
自作はA3,5,B3,B4。有名スタンダードB2を選ぶ一方で、ジャキー・バイアードのA1、ジェローム・アンダーソンのA4など同世代の曲にも目配り。
本盤へ参加したサム・ジョーンズのA2も入れ、ナットはバンド内にもバランスを取った。
こういう丁寧で目利きな自己演出ぶりは想像できるいっぽうで、肝心の音楽が今一つ地味なのがナットの弱み。誰のリーダー作か、ブラインドで聴いてたらピンとこない。
せいぜい「トランペットが目立ち気味かな」と思うくらい。
なお演奏は悪くない。一年でぐんっと進歩してスイング感に磨きがかかった。でも、地味なのも確か。
- 1.#251
- 2.サムズ・チューン
- 3.サムズ・チューン(別テイク)
- 4.ビミニ
- 5.ザ・ファット・マン
- 6.サーモネット
- 7.ジャックレグ
- 8.ザ・ニアネス・オブ・ユ
- 9.ラットラーズ・グルーヴ
- 10.ヘイシード
- 11.ホッピング・ジョン
- 12.イエスタデイズ