〇マケラ&パリ管 マーラー 交響曲第5番 他 2021年 ライヴ

URC-0790/1 (CD-R2枚組)



ベルク

ヴァイオリン協奏曲*



マーラー

交響曲第5番嬰ハ短調



ルノー・カピュソン(Vn)*

パリ管弦楽団

指揮:クラウス・マケラ


2021年6月16日 フィルハーモニー・ド・パリ ライヴ



マケラの若さを感じさせる鮮烈さと、作品の内面へ深く踏み込む集中力が印象的な演奏である。ベルクの《ヴァイオリン協奏曲》では、カピュソンの繊細で透明度の高い音色を生かしながら、マケラは作品に潜む不安と悲劇性を過度に dramatize することなく、冷静な緊張感のうちに描き出す。終楽章のバッハのコラールに至るまで音楽の流れが淀まず、悲劇から浄化へ向かう過程が自然に浮かび上がる。
後半のマーラー《第5番》は、さらにマケラの個性が明瞭に表れる。冒頭の葬送行進曲から響きは引き締まり、金管の強烈な咆哮にも単なる迫力に陥らない統制がある。第2楽章では劇的な起伏を大きく取りながらも、細部の動きを明確に聴かせ、マーラー特有の混沌を整理された音響として提示し、第3楽章のスケルツォではリズムの躍動と各声部の絡みが鮮やかで、若い指揮者ならではの推進力が際立つ。
そして第4楽章アダージェットは、感傷に流されず、静かな緊張を保った美しい音楽。
終楽章では一転して生命力が噴き上がり、パリ管の色彩豊かな響きを最大限に引き出している。重厚さを前面に出すタイプのマーラーではなく、透明な響きと鋭いリズム、強い推進力によって作品を再構築するマケラのマーラーであり、24歳という若さを考えれば極めて成熟した演奏。
なお、この公演は後に「2021年のオーケストラ・シーズンのハイライトの一つ」と紹介されている。

※オリジナルによるノイズ・音飛びなどお聴き苦しい部分がある場合がございます