粉彩で山水楼閣図を描いた双耳瓶です。底裏には朱彩の篆書体による「大清乾隆年製」六字銘が記されています。
器形は丸みを帯びた胴から肩を絞り、頸部へと立ち上がる瓶形をなし、頸の左右に耳を備えています。胴部には山水景を大きく展開し、その上下を花卉文や連続文様の帯で区切る構成です。
主文様には、遠山を背景として楼閣、亭、回廊、橋、奇石、松樹や柳などを配した庭園山水が描かれています。建築物は朱や褐色の細線で描き分け、樹木には濃淡の緑彩、岩山には青緑を交えた彩色を施し、遠景から近景へ奥行きのある景観を組み立てています。楼閣の周囲には小さく人物も描き込まれています。
頸部と胴裾には淡い青緑色の地を設け、その上に花卉と蔓草を連続して配しています。紅、黄、青、緑などの彩色に金彩を交えた細密な文様が、白地を生かした胴部の山水景と対照をなし、器面全体を上下に明確に区画しています。高台際には朱地の雷文帯を巡らせています。
中国陶磁では山水と楼閣を組み合わせた景観表現が絵画的な装飾題材として用いられ、本作も器面を一幅の画面のように扱い、建築、山岳、樹木、人物を細部まで描き込んでいます。粉彩による山水表現と多彩な花卉文様、双耳を備えた器形をあわせて鑑賞できる一作です。 |