パイオニアのブックシェルフ型スピーカー「S-11TX」です。
シリアル同番ペア。日本製。

>> 主な整備内容 <<

- ネットワークの再構築
- 配線の引換え
- コネクターユニットの交換
- エンクロージャーの補強
- 吸音材の交換

ディバイディングネットワークを新たに作り直しています。(写真9枚目左下)
基本構成はオリジナルを踏襲し、ウーファーの中音を僅かに引き上げています。
ツイーター用HPFの一次コンデンサは、デンマークのJantzenAudio製PETフィルムコンデンサを採用。それ以外の電解コンデンサはニチコン製としています。
空芯コイルは導線径の太いものに換装。

上記に伴い、内部配線もすべて引き換えています。
ツイーター部を除き、オーディオテクニカ製OFCケーブル「AT6137」としています。

背面のコネクターユニットを換装しています。(写真9枚目右下)
光造形方式で出力した埋込型ボックスに、バナナプラグ対応のポストを搭載。

キャビネット両側面に、内側からMDF板を貼り合わせて補強しています。
また、背面パネルの一部に桧工作材をあてがっています。

ニードルフェルトの吸音材を、一部音響向けエステルウールに換装しています。

>> 外観 <<

キャビネット仕上げは、目立たない程度の薄い擦り傷のほか、角部に若干のほころびがあります(写真5~7枚目)。いずれも再度貼り合わせて補修してあります。
バックパネルのネジ孔周辺に、若干の陥没があります。

前面ネットは、片方の下部に穴があります。(写真4枚目右下)

ベゼル部に一部色ムラ(写真同右上)はありますが、白錆はなく綺麗です。

>> 所見 <<

「バーチカルツイン」方式の2ウェイ3スピーカー。
業務向けのモニターで見られた「仮想同軸」を、80年代後半にパイオニアが民生向けスピーカーとして開発、発売し、高評価を得ました。本機はその後発品で、1990年に登場、当時のエントリークラスとなります。
ウーファーはフランジ無しのアルミ鋳造一体フレーム。「ミッドシップマウント」によって筐体内部で固定しています。
ツイータードームは当時の新素材「セラミックカーボン」製、ウーファーコーンはアラミド繊維含有パルプ製と、バブル末期のモデルとあって相当な物量が投入されています。

音は中低域に厚みがあり、高音にややキャラのある鳴りかた。スケールを大きく聴かせるものです。
整備では、やや落ち気味の中音を改善し、筐体の鳴きを抑えて静寂性を高めたものとなっています。

>> 主な定格 <<

- 2ウェイ3スピーカー/バスレフ式/防磁設計
- 寸法:204W x 376H x 265D mm
- 重量:6.5kg/1本
- インピーダンス:6Ω
- 再生周波数帯域:50Hz~40kHz
- 出力音圧Lv:89dB/W/m