内容(「CDジャーナル」データベースより)
前作でグラミー賞を獲得したカサンドラが,若手実力派のテラソンとデュエットを繰り広げる。どちらも一風変わったアプローチの持ち主だけに,スタンダードを取り上げてもありきたりの内容には終わっていない。そこが何と言っても聴き手には快感だ。
内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
カサンドラ・ウィルソンの新作はスタンダード集。しかもタイトルが『テネシー・ワルツ』で、同曲のほか、「枯葉」「マイ・シップ」「二人でお茶を」といった超ポピュラーな曲を取り上げている。これならきっとカサンドラ嫌いの保守派のヴォーカル・ファンにも受けるだろう。なんていうのは真っ赤なウソだから、真に受けないように。この作品、原題は“ランデヴー”。要するにピアノのジャッキー・テラソンとの邂逅から生まれた鮮烈な作品であって、たしかにスタンダード集には違いないものの、普通のスタンダード集ではない。あくまでも素材がスタンダードだというだけの話であって、ジャンルを超越した彼女の歌声は、基本的に『ブルー・ライト』や『ニュー・ムーン・ドーター』と同質のものだ。
昨年インタビューした時、カサンドラは、「私は音楽を作る側にいるからジャンルなんて考えない。音楽はひとつであって、カテゴリーとかジャンルなんて信じない」と言っていたが、まさしくここに聴かれる歌声は、ほかの誰にも真似のできない彼女だけの特別の世界だ。以前評判になった『ブルー・スカイ』もユニークなスタンダード集だったが、今回はさらに自身のカラーを鮮明に打ち出しており、もはやここまで来ると、好き嫌いは別にしてその強烈な個性に感服するしかないのではないか。ジャズの世界に安住していては、絶対にこういう歌は歌えない。カサンドラはジャズの枠から飛び出した存在だから、逆にスタンダードを歌うとよりクッキリとその特異性が浮かび上がってくるという図式だ。前2作のクレイグ・ストリートにかわって、今回はボブ・ベルデンのプロデュース。なかにはちょっと凝りすぎのアレンジもないわけではないが、彼女の歌唱力と存在感がすべてを帳消しにしてしまう。言うは易く、行なうは難し。そのひとつが、スタンダードに新風を吹き込むこと。カサンドラは見事にそれをやってのけた。 (市川正二) --- 1997年09月号