ジャン=ジャック・ルソー著、「社会契約論(Du Contrat Social ou Principes du droit politique)」です。桑原武夫/前川貞次郎訳。岩波文庫、2020年・第90刷。状態は未使用に近く、非常に良好です。送料は、クリックポストで240円です(※厚めでない文庫本は、合計2㎏を超えない範囲で数冊;4~6冊程度、同梱できます)。
★内容: これはもっとも徹底的な人民主権論を説いた書物である。国家は個々人が互いに結合して、自由と平等を最大限に確保するために契約することによって成立する。ルソー(1712 ‐ 1778)はこの立場から既成の国家観をくつがえし、革命的な民主主義の思想を提示した。フランス革命の導火線となった近代デモクラシーの先駆的宣言の書。古くは『民約論』とも訳した。「一般意志」というルソーの造語を世に送り出した書として有名である。
ルソーは人間の本性を、自由意思を持つものとして考え始める。自然状態(ルソーは「相互的孤立」の状態と称した。)では各個人は独立した存在として自己の欲求を充足させるために行動し、生存の障害が発生すればその解決のために各個人同士で協力関係を求める。こうして生じる個々人の約束は社会契約の概念として把握される。社会契約の枠組みに従って国家が正当化されるためには、人間の自由な意思が社会契約の中で保障されていなければならず、本書では個人のための国家の在り方を論じている。
社会における全ての構成員が各人の身体と財産を保護するためには、各人が持つ財産や身体などを含む権利の全てを共同体に譲渡することを論じる。人びとが権利を全面的譲渡することで、単一な人格とそれに由来する意思を持つ国家が出現すると考えられる。国家の意思をルソーは「一般意思」と呼んでおり、これは共同体の人民が市民として各人の合意で形成したものであり、直接民主制により主権が行使されるべきである(間接民主制は議員を選挙する間だけの自由であり、選挙が終われば奴隷となるとして、ルソーはイギリス議会を批判している)。それと同時に、一般意思が決定されてからは臣民として絶対服従しなければならない。なぜならば一般意思とは、各個人の私的利益を求める特殊意思とは反対に、公共利益を指向するものであるからである。したがって一般意思をもたらす人民は、主権者として見直すことが可能となる。
しかし、人民主権の理念を具体化するためには、多くの実際的問題が認められる。人民は主権者であり、一般意思が公共の利益を指向するとしても、人民の決議が常に正しいとは限らない。人民全員が参政することは非現実的であるばかりでなく、非効率でもある。そこで人民に法を与える立法者の役割が導入される。立法者は制度や習俗を構築することで共同体を構築する。さらに、人民の習俗が維持するための監察官を用意することで、社会契約や法の絶対性を教義とする市民宗教を教育し、共同体を維持する。
★著者、ジャン=ジャック・ルソー(Jean-Jacques Rousseau、1712 - 1778年)は、フランス語圏ジュネーヴ共和国に生まれ、主にフランスで活躍した思想家、哲学者、政治哲学者。当時の人工的退廃的社会を鋭く批判、感情の優位を強調し、「自然に帰れ」と説き、ロマン主義の先駆をなした。思想、政治、教育、文学、音楽などの分野において根本的な価値転換作業を行い、近代思想に多大の影響を与えた。主著に『人間不平等起源論』、『新エロイーズ』、『社会契約論』、『エミール』、『音楽辞典』、死後刊行の『告白』など。
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