粉彩で劉海戯金蟾の故事人物を描いた双耳尊です。底裏には青花による篆書体の「大清乾隆年製」六字銘が記されています。
器形は裾を引き締めた豊かな胴から肩をすぼめ、口部に向かって直立する頸を設けた尊形をなします。頸の両側には双耳を配し、耳には橙彩と紅彩を施しています。口縁、頸、肩、胴裾、高台にはそれぞれ文様帯を巡らせ、器形の区画に沿って装飾を組み立てています。
胴の大きな窓絵には人物を中心とする場面を描き、周囲に奇石、草木、鳥などを添えています。人物の衣には紅、青、緑、橙などを用い、顔貌や衣文は細い線描によって描き分けています。画面には朱彩の蝙蝠も散らされ、人物図の周囲に吉祥意匠を重ねています。
劉海戯金蟾は、仙人・劉海と金蟾を組み合わせた中国美術の伝統的な吉祥画題です。陶磁器をはじめ、絵画や工芸品にも取り上げられてきた題材で、富貴や招財に結びつく意匠として親しまれています。本作では人物を主景として窓内に収め、その外側を花卉文や連続文様で取り囲む構成としています。
頸から肩にかけては淡い青緑色の地に多彩の花卉を連ね、黄、紅、緑、青などを細かく描き分けています。胴裾には幾何学的な連続文を巡らせ、人物図を囲む華やかな装飾と器形の輪郭を結びつけています。
人物画を中心とした窓絵、器面を区切る多彩な文様帯、双耳を備えた尊形を一体に構成した粉彩双耳尊です。 |