1-6. ジェルヴェーズ(1540頃-1560)/6つのブランル
7-10. アントン・シモン(1850-1916)/ソナティナ形式の四重奏曲 Op.23
11. アンドレア・ガブリエリ(1533-1585)/第一旋法によるリチェルカーレ
12-14. ブルース・アドルフ(1955-)/窮余の策(Desperate Measures)
15. アラン・ホヴァネス(1911-2000)/金管四重奏のための詩篇 Op.358
16-20. ロバート・スターラー(1924-2001)/金管楽器の肖像
メトロポリタン・ブラス・カルテット
ダグラス・ヘドウィグ(トランペット)、ランク ホスティカ(トランペット)
ウィリアム・パーカー(ホルン)、ブルース・ボンヴィスート(トロンボーン)
録音:1982年4月26‐30日
MSR【アメリカ輸入盤】
ルネサンスから20世紀後半まで実に3世紀以上にわたる金管四重奏のレパートリーを集めたユニークなアルバムです。ルネサンス期の舞曲からロシアで活躍したフランス人作曲家、さらに現代アメリカの作曲家まで、一般的な金管アンサンブルのアルバムではなかなか聴くことのできない作品が並んでいます。冒頭のクロード・ジェルヴェーズ(1544頃-1558以降)による「6つのブランル」は、フランス・ルネサンスの舞曲を金管四重奏で演奏したものです。「シャンパーニュのブランル」第1番から第4番、「ポワトゥーのブランル」、「ブルゴーニュのブランル」と、それぞれフランスの地域名を冠した6曲が収められています。素朴で快活な舞曲が金管楽器の明るい響きによって鮮やかに蘇ります。アントン・シモン(1850-1916)の「ソナティナ形式の四重奏曲」は、19世紀ロシアの金管アンサンブルのために書かれた作品です。フランス生まれながらロシアで長く活動したシモンは、オーケストラ作品やピアノ曲だけでなく、金管楽器のためにも優れた作品を残しました。4つの楽章で構成され、特に終楽章の「ロシア風のアレグロ・モデラート」はロシア民謡を思わせる素朴で快活な雰囲気があり、作品全体を楽しく締めくくります。アンドレア・ガブリエリ(1533-1585)の「第一旋法によるリチェルカーレ」は、ルネサンスの対位法を金管四重奏で味わえる興味深い作品です。複数の声部が絡み合いながら音楽が展開していくため、華やかな金管アンサンブルとはまた違った、端正で格調高い響きが楽しめます。
現代作曲家ブルース・アドルフ(1955-)の「窮余の策(Desperate Measures)」は3曲からなる作品で、「閉じ込められて(Trapped)」「孤独の中の詩人(Poet in Isolation)」「再構築(Revamp)」というユニークなタイトルが付けられています。タイトルどおり緊張感やユーモア、現代的なリズム感が交錯する作品で、ルネサンス作品とはまったく異なる金管四重奏の表情を聴かせます。実際、メトロポリタン・ブラス・カルテットはこの作品を初演しており、アドルフをはじめとする現代アメリカの作曲家たちの新作を積極的に世に送り出していました。アラン・ホヴァネス(1911-2000)の「金管四重奏のための詩篇」は、1981年に書かれた作品です。短い作品ながら、ホヴァネス特有の宗教的な静けさと荘厳な響きが凝縮されており、金管楽器による祈りの音楽ともいうべき美しさがあります。最後に収められたロバート・スターラー(1924-2001)の「金管楽器の肖像」は、「巡礼者(The Pilgrim)」「ルシファー(Lucifer)」「天使の花嫁(The Angelic Bride)」「戦う者(The Militant)」「地獄のイブ(Hell-Eve)」の5曲からなる作品です。タイトルからも想像できるように、それぞれ異なる人物やイメージを金管楽器の音色で描き分けており、華やかさだけでなく劇的で風変わりな表情も楽しめます。
演奏するメトロポリタン・ブラス・カルテットは、1970年代から1980年代にかけてアメリカとカナダの金管室内楽界で重要な役割を果たした団体です。一般的な金管五重奏ではなく、トランペット2本、ホルン、トロンボーンという独自の4人編成をとり、ルネサンス、バロック、ロマン派、そして現代作品まで幅広いレパートリーを開拓しました。25曲もの新作金管四重奏曲を委嘱・初演したことからも、その活動の意欲的な姿勢がうかがえます。単なる「ブラスの名曲集」ではなく、金管四重奏という編成がどこまで多彩な音楽を表現できるのかを、400年を超える時代の流れの中で楽しめるアルバムです。古楽ファンにも現代音楽ファンにも面白く、何より4人の抜群のアンサンブルが最後まで耳を楽しませてくれます。未開封新品です。