明・清時代に製作されたとされる油煙墨です。中央には「御製 珍寶墨」の文字が配され、文字部分には青紫系の彩色が残されています。
墨形は一般的な長方形ではなく、周縁を大きく起伏させた牌形の造形となっています。周囲には龍を思わせる霊獣や雲気文などが立体的に彫り込まれ、中央の銘文を取り囲むように装飾が展開されています。黒い墨地に彫刻部分の古色が浮かび、細部まで変化に富んだ意匠が確認できます。
反対面の中央には「合経堂蔵墨」の銘が刻され、こちらの周囲にも霊獣・雲文を主体とした彫刻が施されています。表裏で銘文を変えながら、全体の装飾構成を対応させた作りとなっています。
表面には細かな経年変化が見られ、彫りの凹凸や周縁部には古色を帯びた部分が確認できます。銘文、牌形の器形、周囲を巡る細密な彫刻を一体として構成した点が本品の見どころです。 |