1-4. 大澤壽人(明治39年-昭和28年):チェロとピアノのためのソナタ ト長調(1932)
5. 宮澤健一(昭和4年~平成19年):初恋
6. 助川敏弥(昭和5年~平成27年):子守唄(1941)
7-9. 清瀬保二(明治33年~昭和56年):チェロ奏鳴曲(1960)

(ボーナス・トラック)
9. J.C.バルトレット(1850-1929):夢(採譜・編曲:安部幸明)


山下泰資(チェロ)、佐藤彩(ピアノ)

録音:2012年7月11-12日、秩父ミューズパーク音楽堂

MITTENWALD【国内盤】

日本人作曲家によるチェロ作品を集めた「和」チェロ・シリーズの第3集。中心となるのは、大澤壽人、宮澤健一、助川敏弥、清瀬保二という4人の作曲家。1930年代から1960年までの作品を並べることで、日本の作曲家が西洋の器楽作品を学びながらそれぞれの個性をどのように育てていったのかが見えてきます。なかでも最も強烈な印象を残すのが、大澤壽人の「チェロとピアノのためのソナタ」。大澤は1930年に渡米してボストンで学び、その後パリでもデュカスやブーランジェに師事するなど、当時の日本人作曲家としては極めて国際的な活動を展開しました。1932年にボストンで書かれたこのソナタにも、そうした環境の中で吸収した新しい音楽語法が早くも表れています。26歳の大澤が生み出した音楽は若書きとは思えないほど大胆で、チェロとピアノが互いに競い合うような推進力があります。美しい旋律を歌わせる場面とリズムや和声を駆使して一気に音楽を動かしていく場面との対比も鮮やかで、この作品だけでも大澤壽人という作曲家の非凡さを十分に感じることができます。
続く宮澤健一「初恋」と助川敏弥「子守唄」は、ソナタとは対照的な小品です。チェロの豊かな歌声を生かした親しみやすい作品で、アルバムの流れに柔らかな表情を与えています。そして清瀬保二の「チェロ奏鳴曲」は、1960年という時代を反映した緊張感のある大作。第1楽章の力強いマーチ、第2楽章の深い静けさ、終楽章の疾走感が鮮烈なコントラストを作り、作品全体を強い意志で貫いています。ボーナス・トラックの「夢」は、アメリカの作曲家J.C.バルトレットの歌曲を安部幸明が採譜・編曲したもの。最後に置かれたこの小品が、4人の作曲家による本格的なソナタ作品とはまた違った素朴で美しい余韻を残してくれます。演奏は、スイス・イタリアーナ放送管弦楽団の第一首席チェリストを務めた山下泰資とピアノの佐藤彩。こうした日本人作曲家の作品を単なる珍しいレパートリーとしてではなく、チェロの魅力を十分に引き出す音楽として聴かせています。知られざる日本のチェロ作品をまとめて聴けることに加え、とりわけ大澤壽人の若き日のソナタをじっくり味わえるのが、このアルバムの大きな魅力です。日本の近代・現代音楽に興味のある方だけでなく、チェロのために書かれた知られざる名曲を探している方にも楽しめる1枚です。未開封新品です。