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第55回文藝賞の受賞作2篇を全文掲載しています。

日上秀之「はんぷくするもの」は、震災後の沿岸の街が舞台。老いた母と仮設店舗の商店を営む独身男性・毅が、客の古木さんに貸した3,413円を取り立てようとします。被災した者としなかった者が共に暮らす日常を、金銭をめぐる小さな出来事から描いた作品です。

山野辺太郎「いつか深い穴に落ちるまで」は、日本とブラジルを地球内部の直線ルートで結ぶという奇想から始まります。終戦直後に始動した国家的な極秘土木計画を、広報係の会社員が記録するという設定で、日本の組織や官僚制度をユーモラスに描きます。

受賞記念対談は、町田康と日上秀之「困難を生きる倫理」、磯﨑憲一郎と山野辺太郎「百年前の作家から励まされる仕事」。磯﨑憲一郎・斎藤美奈子・町田康・村田沙耶香による選評も収録しています。

「唐十郎 幻の第一作」では、初期小説「懶惰の燈籠」とシナリオ「幽閉者は口あけたまま沈んでいる」を掲載。作家・劇作家としての唐十郎の出発点をたどる貴重な企画です。

ほかに、赤坂真理が天皇・アメリカ・家族を問う「箱の中の天皇」、高山羽根子のロードストーリー「居た場所」、牧田真有子の異色ミステリー「土鍋川鮎子の愛と推理」を収録。高橋源一郎と尾崎世界観の対談、映画『銃』をめぐる中村文則・奥山和由・武正晴の鼎談も掲載された、全680ページの充実号です。

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