能登の市場で仕入れた、九谷の作家・吉田勝山による染付の大鉢です。

吉田勝山は1938年、石川県石川郡野々市町野代に生まれ、1963年より作陶生活に入ります。その後、日展をはじめ、日本現代工芸展、中日国際陶芸展、石川県現代美術展などで作品を発表。石川県現代美術展最高賞、金沢市工芸展県知事賞などを受賞し、1989年までに日展へ10回入選しています。作品には「九谷 勝山」の銘が入ります。

今回は、勝山自身が制作したと思われる作品を記録したアルバムや、制作途中の器などとともに、複数の作品を能登の市場で仕入れました。作品には展示・管理のためと思われるシールが貼られており、実際に暮らしの中で使われてきた器ではなく、制作の見本や展示品として残されていたものです。

本品は、古染付の意匠を取り入れたと思われる、鳳凰と龍を描いた大鉢です。 古染付とは、主に中国・明末期の民窯で焼かれ、日本へ伝わった染付磁器を指します。整いすぎない器形や、呉須の濃淡を生かした自由で伸びやかな絵付けは、日本の茶人たちにも好まれてきました。

また、北大路魯山人も古染付を含む古陶磁を蒐集し、その造形や絵付けから多くを学んだことで知られています。古染付は、近代の作家たちにとっても新たな表現を生み出す源のひとつでした。

器の内側には、長く尾を引く鳳凰が大きく描かれています。細部を緻密に描き込むのではなく、呉須の濃淡と勢いのある線でその姿を捉え、周囲には雲や風を思わせる文様を散らしています。古染付に通じる伸びやかな筆致でありながら、勝山らしいどこか愛嬌のある鳳凰です。

そして見込みの中央には、小さなクルスを思わせる十字形の文様。大きく円を描く鳳凰に対して、器の中心に小さな幾何学文様を置いた構成が印象的です。

さらに外側には龍が描かれています。波や雲を思わせる線の中を進む龍を器の側面いっぱいに描き、内側の鳳凰とは異なる景色を展開しています。料理を盛っているときには外側の龍が現れ、器を空にすると鳳凰とクルスが姿を見せる。内と外の絵付けを合わせて愉しめる1客です。

古染付の意匠を取り入れながら、そのまま写すのではなく、鳳凰や龍を勝山自身の自由な筆致へと置き換えた作品。直径約28.2cmと存在感のある大鉢で、盛鉢としてはもちろん、器そのものを眺めても愉しめます。

入や欠けはありません。

参考サイズ:直径28.2cm x 高さ9cm

※古いものです。傷、汚れなどもございます。ひとつひとつのサイズ、形、色が若干異なることがございます。器ごとの違いは特性としてご了承くださいますようお願いいたします。

※※店頭や他のサイトにも出している場合ございますので先に売れていた場合はご容赦願います。その場合はメールにて別途ご連絡いたしますのでどうぞ宜しくお願いいたします。 

 (作品番号 0908)


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